2016年8月4日木曜日

【短期連載その9 掌の上】

カブトムシは幸せなのか(本日の子ども科学相談より)。

この夏休み、ほぼ毎日何をしているかといいますと、息子の宿題の見張りです。進んで宿題をしようとしないから見張るのか、見張っているから自発的に勉強しなくなるのか、コロンブスの卵の如しである。リビングの机に向かい合って座り、見張りと称して私は本を読んでいるのですが、読書に夢中になってハッと気づくと消しゴムを電車か何かに見立てて「共和〜大府〜刈谷〜三河安城〜」とかやっていてオイ(逆方向やろ)!とかなっている。疲れます。宿題を忘れると皆の前で先生に叱られる、みたいなのも彼にとっては全く発奮材料もしくは抑止力にならない。調子のいい時に褒めても、そうでない時に叱咤しても、放っておいてもおかなくても、もので釣っても釣らなくても、彼は一瞬たりとも変わらないのです。学校や外での態度と家での態度も全く同じ、激昂して我を忘れることも、爆笑することも、何かに異常に執着することも誰かに嫉妬することも何となく不機嫌になることも陽気になることもあまりというかほとんどない。男子同士のマウンティングにも興味がないし誰かに勝ってやろうというメラメラしたものもなく、かといって他人の顔色を伺うわけでもなく、常にニュートラルで居続けている。自分にも他人にも寛容で、悪く言えば甘く、例えばもしもわたしがこの先ひょんなことでホストクラブにハマり身を持ち崩したとしても絶対に許してくれる自信があります。その代わり彼自身がカード破産しても割と平気でいるような気もする。だから、息子に対してわたしがキャンキャン言ってもあまり響く様子がなく、こちらが勝手に疲れて今日はこの辺にしといたるわ、となる。池乃めだかの如し。そして勉強ってなに、、幸せってなに、、親子とは社会とは人生とはなんだ、とグルグルしはじめ、その間に息子はまた消しゴム電車の旅に出るのです。そんな思春期直前。


 【備忘録】

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久しぶりにグッときた面白い漫画。何巻だったか、「心配せんでもそれなりにみんなそれぞれ不幸やから」というセリフに救われています。映画化もするのですね。

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